― 天上宮・門付近 ―
[出立する一団を見送る位置に、霊亀眷属の従者たるノトカーの姿もあった。
親と子ほども年の差のある主に付き添う姿は、保護者めいて見られることもあったのだけれど。
出立前に浴びせる小言は年々少なくなり、今では「行ってくる」と短く言い駆け出す背中を見守るばかりだ。
此度は彼が戦友と呼ぶ神将の姿が見えたこともあり、背中が遠ざかる速度は一段と速い]
もう子供ではない、か……。
[家の事情があるとはいえ、異例の早さでの当主就任は、それを裏打ちする実力あってのことだ。
一方、守護者の任を解かれた従者が、依代という形で霊亀神の助力を受けることはもう叶わない。
それでも、天界の護りに手が必要とあらば、それに否やを唱えることはないのだが]