― 湯殿 ―
[迷宮と称しても、梟の眼差しは惑うことを知らない。
徒歩で着いた広い浴室には薔薇と香油の霧が満ちている]
…
鴉公、歓迎する
[笑みと共に口にしながら、自らの纏う衣を羽音一つで消す。
しなやかな裸身を浴槽へ滑り入らせ、
淡い湯の中へ紅の翼を広げた]
羽繕い中にて、このような格好で失礼する
貴方も楽しんでくださるだろうね
[この宴は試練の儀式の形骸を保っていながら、遊戯でに他ならない。その性状で名を知られる乱鴉の大公が、度を超えた過干渉さえしないのならば、
拒む理由などどこにもありはしなかった]