――Nルーム前――
[会わせる顔なんてなかった。
それでも、再会を望んでいた。
が、いざ対面すると涙に飲まれてしまっていた。
悲しまなければ気が済まなかった。
謝らないと許されないと思っていた。
けれど手はそっと、相手に伸びて。
それは小さく主張された望み、だったのかもしれない。
そこにそっと重ねられた温もり。
それに小さく息を飲んだ。
優しく、暖かく、
それだけで、息が止まりそうで。
だから声が止まって、その手の方向を見た。
そうすれば、相手と目が合った、だろうか。]
…………っ、
[謝る必要はない>>+2と目の前の彼は言った。
優しく教えるように、諭すように、続く言葉。
理論立てたその話し方に、ああ、らしいなと、思う。
彼の多くを、知っているわけでもなかったけど。
そんなところにも、惹かれたのだろう。
それにひとつひとつ、うん、うん、と頷いていく。
まだ泣き顔で、嗚咽混じりだっただろうけれど。]