[否。知りたいと思えば、いつでも知るすべはあった。
幼い頃に叩き込まれた様々な技術の中には、投獄されている者を脱獄させるための術や、敵陣営の諜報員に万一捕らえられた場合の縄抜け、手錠や手枷などを外すものもあったから。
牢の外の情報が欲しければ、独房から抜け出して調べることもできた。
だが、調べる気が起きなかった。
教え子たち――特に、刀と犬たちを託したカレル――がどうなったのか。
皆、生きているのか死んでいるのか。
あれほど願った、シュヴァルベの再建は叶ったのか。
それらが気にならない筈がないけれど。
――皆があの戦で死んでいたら。
――シュヴァルベの再建は成らず荒野ばかりが広がっていたら。
と。
それを考えれば、怖くて。調べることなどできなかった]