[静寂の本棚の森を抜けた先は、机の並んだ広場だった。そこでは、若い少年少女が腰掛けて、本を読んだり、広げた紙に何かを書き付けたりしていた。――図書館、という言葉が遅ればせながら浮かんだ。男は小さく唸った。この場所は、転移の現場そのものではない。だが、関係のある場所ではある。人か、物か、場所か。此処に連なるものの因果が、水脈となって残っている。]