― 天上宮・門付近 ―
[一夜明け、夫と彼の眷属が門前に向かう。
自分は共に行かぬものの、少しでも近くで見送りたいと門の近くに留まって。
門扉を見上げれば、同じ様に見送りに来られている姿に温かな笑みが浮かんだ。
周囲を見れば、他にも見送りの姿が見えるだろうか。
夫や周りから伝え聞いている話から、朱雀神はこの場に顔を見せぬだろうとは察せるものの]
…そういえば、霊亀の当代様も地上へ行かれると聞いたけれど。
霊亀の君も御一緒かしら。
[夫やレトから聞いた話だけでも霊亀の現当主の人柄や才気は伝わっている。
自分が知る霊亀はかの大祭で会った青年だが、どちらにいらっしゃるのだろうと思いながらも視線は出立まで門前から外れる事は無かった*]