― 処刑前のある夜 ―
――…………ッ!!
[牢獄の凶悪犯用独房の中。
いつもと同じ――懐かしい思い出と、血の海と屍の山の――夢を見て。
脂汗に塗れて目を覚ました。
夢の中で感じるリアルな血の匂いと人を断ち斬る感触のためか、寝起き直後は瞳が血の色をしているが。それはすぐに本来の赤銅へと戻った]
――…………くそ。
[汗で額に貼り付く髪を、枷と鎖をつけられたままの手でかきあげる。
投獄されてから、どれだけの月日が経ったのだろう。
戦争はどうなったのか。勝者はどちらか。
――シュヴァルベの再建は、成ったのか。
早々に取り調べが終わった後は、面会も呼び出しもなく。
それらの情報は何も知らない]