ー 夜・村の道 ー
[ドラが風呂を上がったのを見届ける。]
さて、そろそろ仕事の時間かな。
[この施設に来て、案内役と言う意味を把握した。
この施設と、村との間は、実はそう遠くない。
風に乗り村の声が届くこともあれば、嗅いだことのある匂いが届くこともあるからだ。
村へ戻ろうと思えば戻れる距離。
だがそれは、『俺』の耳と鼻だからであって、気付いている人間は、ここにはいないだろう。
しかし、組織の人間は念には念を入れるようで…この施設に追放された人間が、再び村へと戻ることのないように施設までの道に工夫を凝らした。
複雑に曲がりくねる道、方向感覚を鈍らせる大量の樹々、少ない光しか差さない森の中。
案内するのが俺の役目だ。]
さて今日は誰が追放されて来るのだろう。