[宵闇のヴェールを抜けるようにして現れたのは、後ろ髪をひとつに束ねた青年だった。青年は、その腕にもう一人を姫抱きにしている。運ばれているのも、同じ顔をした青年だった。意識を失っているようで、その目は閉じられている。胸に置かれた左手は肘から先がない。] お邪魔しますわ。 [新参者はしとやかな女言葉で挨拶をすると、いつのまにかそこにあったカウチソファに抱えていた青年を横たえ、自身はそのソファの端に腰をおろす。] ダーリンは起こさずにおいてあげましょ。