ー回想・トゥランター
[子供の頃、トゥランタで一緒に遊んでもらっていたのは、”人狼”の純血種ソマリ。あの星に住む人狼は、突然変異種でない限り、普通の人間と何ら変わりない生活を送っていたーー。]
えー、待ってよ、ソマリ兄ちゃん!
[限界集落のトゥランタでは、元気に走り回っていた2人は皆から愛されていた。ソマリはとても優しいオオカミで、出会った時からずっと面倒をみてもらっていた。]
なにこれ、こんなのはじめてみた!
ソマリ兄ちゃんすごい!
おれもほしいなあ……
ほんと?ありがとう!えへへ!
[幼かったオレはよく駄々をこねていたけれど、ソマリは嫌な顔一つせずにずっと一緒にいてくれた。
けれど、そんな日々はずっと続かない。星を脱出する際、オレは家族の意向により、当時発展が進んでいた遥か彼方の星『デザートイースト』に住むことになった。そして、辛うじて大人ながら脱出に成功した母と、2人で暮らすことになる。
ソマリの行き先も知らぬまま、2人は今日まで会うことはなかった。ソマリの苦痛も知らずにーー(>>3:390)
オレは、ソマリが人狼であることは知っていた。もちろん、アデルが襲われるようなら容赦はしないつもりだった。だけど、オレは心のどこかで信じていた。ソマリはそんな奴じゃないってーー]