[どうして触れるの>>+5、と聞かれるのは、弱かった。
事実を伝えるのは酷だとも思ったし、それを隠しきるほど嘘もうまくない。
そもそも伝える方法を持たないのだ。]
(俺ですら、現状を理解しきれていないのに)
[笑顔を苦くして、代わりに手を差し出した。
行こう、と指をさす。他にもいくつかの気配があった。
先ほど聞いたヨアヒムのような声も気にかかる。もし彼なら、この少女に言葉をかけてあげることも叶うかもしれないと、本来の目的を優先することにした。
少女は手を取ってくれるだろうか。警戒されるようなら、誰かを見つけ次第ここに連れてくるかと、それくらいしかできそうにないのだが。]