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―地下迷宮・玄室の一つ―
[少女は寝そべったまま、うっそりと天井を見あげる。
紅色の眼差しの先は宵闇に包まれた地上階。
燭台の並ぶ通廊を歩く、今しがた現れた娘の姿]
あの幼子は無意識に"喚ばれた"のかしらね、白絽侯。
それとも《暗示》か、何かで?
誰かの差配だったとしても。
まるで自覚が無さそう。
[警戒しているらしいとは見てとれても、年経た魔物の瞳にはまるで無防備な様子に映る。色薄い唇を、僅かに歪めた]
・・・ローレル、か。名まで洩れて来おる。
・・・あれでは、餌と変わらぬな。ふふ。