[見上げた花は、形も色も匂いだけでなく。茎にある棘の位置、数すらも同じ。ただ、大きさが違うだけのそれに、呆気に取られて見上げていたのはどれ程か。>>+5自分の名を呼ぶ声に、ようやく視線を動かすことができて]ファミル…?眠ったんじゃなかったのか?[ヴェルナーから聞いた話では、眠りに落ちたはずの司書が起きているのに首を傾げるも。その傍らにも大きな花があるのに──否、他にも鉢植えが幾つも並んでいるのに気付いたのと。長殿の研究室というその言葉で、状況を理解するのに幾度か反芻をして]