[今の私は、少なくとも今を生きる者達には
知覚することも観測することも出来ない
――本当に其処に居るのかも疑わしい仮初の存在。]
もし、本体の『私』が目を醒ましたら、
今の私はどうなっちゃうんだろう……。
[今の記憶がそのまま引き継がれるならば問題ない。
だけど蜃気楼のように消えてしまわないか、
もしくは『私』が起きた後も私が
このまま取り残されてしまわないか
――それが怖い。]
私は私という存在の終わりを自覚しながら消えるのは
死んでも嫌だし、無限に続く孤独も嫌。
[もし消滅を免れることが出来ないのであれば、
せめて最期に我儘を言わせてほしい。
星一つ見えない亜空間の中で消えるのは寂しいから嫌。
出来ることなら、
ギムレーの暖かな光を受けて煌めく星々を見ながら、
笑いながら逝きたい。]