[不思議ね。まともに物が見えなくても、声は最後まできこえるみたい。苦痛も恐怖も一瞬で体から切り取られていく。私は、きつく抱き締められながら、もう幾何も時が残されていないのを悟った。せめて、と握りしめていた銀細工の薔薇の行方はわからない。イェンスに、届いたかしら。どうして?って、私の気持ち。花開かなかった淡い慕情]