[ べり べり
べり
べり べり
…は塞げなくなった耳で、何かが裂け、破れ、引き剥がされる悍ましい音を聞いていた。
……或いは、魂が両断されるかのような痛みすら、…は感じていたのだった。
…から剥離した何かは、どろどろと濁る黒いものであったけれど、溶け消えるそれらを…は行かないでとばかりに掴んで――掴んで。それでも、消えて…しまった。
――…消えた、瞬間に。
強烈な虚脱感に襲われて、…は見えない身体を抱き締める。己を包む腕さえ――包む体さえ無いというのに。
――…。]