― 地下迷宮 ―[城の仕掛けがふたりの吸血鬼を呑みこみ、地下へと誘う。石の壁と石の床がどこまでも続く、明かりの無い世界。吸血鬼であれば闇とて見通せるものも多いだろう。その吸血鬼の知覚をも惑わす霧が、ふたりの周囲に立ち込める。] こちらだ。[どこからともなく響く声は、ふたりにはそれぞれ別の方角から聞こえたように思えるだろう。]