[クレメンスに協力して『シュヴァルベの再建』を成したとしても、そこに自分の居場所はなかった。
最初から、目的を果たしたその時には自らの犯した暗殺の罪を償う為に、クレメンスの罪の証拠も抱えて自首するつもりだったから。
自分の居場所が無くても構わないと思っていた。
自分が子供のように思っている教え子たちが、再建されたシュヴァルベで平穏を取り戻すことができれば、それだけでいいと。
けれど。本当は、自分自身があの頃のシュヴァルベに帰りたかったのだ。
理想として掲げていた『シュヴァルベの再建』が叶ったとしても、その本当の望みは叶わなかった。
ずっと、そのことに気付かずにいた。
否、気付いてしまえば身動きが取れなくなるから、気付かないようにしていたのだ]