[涙に虚ろになる視界。しかしかつての仲間が、その躯の腕を足で退けたのを>>4見逃しはしなかった。]
――ロー、君は今何をした?
その人の躯に何をした??
[その肉を食らうでもなし愛でるでも無しに、
ただ邪魔だからとなぎ払い、ゴミのように足蹴にするのか?]
お前は彼女を侮辱するのか!?
[狂ったような叫びをあげて、ローシェンに殴りかかった。
しかし、振り上げた拳はローシェンをすり抜け、空を切った事だろう。]
……!
[勢いあまり2,3歩進んで立ち止まる。
――かすりもしない、届きもしない。
死せるこの身はただ、無力――
カレルが彼女を抱き留めるその横>>9で、ただ呆然と立ち尽くす。
亡くしてしまったと、ただ口の中で嘆く事しか出来ないと。
――これまで遭ってきた死者と同じく、彼女もまた己と同じに彷徨う身となった事に、未だ思い至らずに*]