―ニコラスと共に―
[特に深く考えず、ニコラスについて来た。
会ったばかりの年上の男性について来るなんて、人見知りの彼女には珍しい。
自分でもどうしてそうしたのかわからない。
もしかしたら、声を失った彼を、どこか放っておけなかったのかもしれない。
そのまま村中のいたるところを巡った。>>5:+45>>5:+46>>5:+47>>5:+48
教会、パン屋、花屋、図書館…
この村で生まれ育ったカタリナにとって、慣れ親しんだ場所ばかりなのに、どこか違う場所にいるように感じた。
それは、誰もいないせいばかりではなく、自分がもうすぐ、この世界から離れなければならないことを悟り始めているためかもしれない。]