[必死に声を押し殺す様子もまた可愛らしいもの。いずれは、身も世もなく喘がせてみたい。なにか鬱屈したものを抱える心をすべて暴き立ててみたい。そんなことを思いながら、心行くまで血の饗宴を堪能し、力果てた彼を闇の手に任せて、再び霧の中へ戻っていった。その一部始終を、鴉の元にいる狼の前に映し出してやったのは、ほんのささやかな親切心である。]