[機密を世間に暴露しようと思ったのは、正義感も勿論あったが、そう言う家庭環境のコンプレックスから来る無自覚な自己顕示欲の現れだったのかも知れない。あるいは若者特有の全能感から来る慢心であったかもしれない。][いずれにしても、彼という人間は、海賊連中の様に壮絶な過去がある訳でも無ければ、銀羊の乗員の様に悲惨な体験を経た訳でもない。ありふれた家庭の事情に振り回される、ありふれた若者の一人に過ぎないのであった*]