右脚? 俺の?[言われて初めて気づく。靄がかかったように己の右脚が見えない。否、立っているのが不思議だが、まるで右脚がそこに存在しないようだ。]あぁ……これは、たぶん、最期に失った。いや、大丈夫、痛みはまったく感じていない。帝国軍の襲撃を受けた時に、な。ここ《ヴァルハラ》に居るということは、貴殿も……その、命を落としたのだろうか?[おそるおそる尋ねる。トライブクラフト伯爵暗殺未遂事件については、幸か不幸か当時の彼の耳に届いていなかったらしい。**]