―― メイン・ラボ ――
[聞こえてきたのは、空気音。
機械のそれではない、まるで蛇の吐くそれのような響きに感じたものは、“敵意”]
――あの狼じゃねえな、
あんな音はしなかった。
[メイン・ラボへと向かう扉は、ノーラに促され、シルに開けてもらったのだったか。>>+163
様子を見てくる、と言われても、一人向こうに行かせるつもりなど毛頭なく、
扉が開いたなら、位置的にノーラに続く形にはなったようだが、
即座に外へと駆けだした。
広いフロアの天井へと浮かび上がる異形の姿は、
――銀の鱗に覆われた、大蛇。
底冷えするような青い目、牙と顎の形から、恐らくは毒蛇と咄嗟に読むが、
それは滴る蒼の――おそらくは毒液からも、明らかなことだった。]
ムニン、フギン、お前らは下がってろ!
[“ヨルムンガンド”
神話の中に出てきた名だ。
咄嗟に抜き放ちかけた支給品の銃を、“抜かなかった”。
代わりにその両手に現れたのは、より口径の大きい、鈍色の銃二丁]