[宿の近くに相変わらず座っていたヴァルターは、ジムゾンが出てくるのも、彼にディーターが近づいていくのも、眺めていた。
距離はあったが、その結末を、認識していた。>>5]
……ああ。悪いな。
それがお前の罪だ。
[ジムゾンの方は見ないで、呟いた。>>5
狼と羊が檻の中で共に暮らすのは不可能だ。
彼らが仲良く暮らせるのは、おとぎ話の中だけだ。
切実な願い。
だが、その為に、彼は大切な存在を自分の手で壊す羽目になった。何よりも最悪な結末が訪れた。]
[――殺された際の苦痛を、「仕方なかった」で帳消しにしてやるほど、ヴァルターは人間が出来ていない。無論、自分がそうだから、己が殺した者達に対しても自分を許さなくて良いと思っているが。
ただ。獣の叫びがあまりにも悲痛なのが、この外道にも伝わったから、ジムゾンを嘲笑する気が失せただけだ。**]