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[頬を打つ滴に強制的に覚醒させられた。]
水滴?
[雨漏りだろうかと周りを見回せば見たことのない岩壁に三方を囲まれていた。体内時計が告げる刻はすでに太陽が地上に姿を現していることを伝えていたが、ここまで光は届かないようだ。けれど、光苔の一種が自生しているようで洞穴内は淡い光で包まれていた。近くのものをみるのには問題ない光量だ。]
薄々覚悟はしていましたけれど…。
[ぽつりと溢した言葉が響く。落胆がないとはいわないが、安堵を覚えているのも事実だ。これ以上仲間を疑わなくて済む、と。]
レトさん、いらっしゃいますか?
[呼び掛けながら少し歩いたけれど姿を見ることは叶わず。
疲れたように壁に背中を預け、取り上げられなかった笛に口を寄せた。**]