『あなたはわたしから、沢山のものが抜け落ちた”わたし”。そのまま、欠けて落ちて消える筈だったのに、どうしてかな?
生きることを望んだあなた。わたしは、あなたと同じようにその村の人達の暖かさに触れ、ランプの精霊さんと話してもどうしても願えなかった。
わたしはあなたのように、無邪気にあの精霊さんと親しくもしてなかった。だって羨ましかった。
あの精霊さんの”力”は、願いを叶えるという目に見えてわかるものだから。
わたしがかつてこの身宿していた”力”は周りの人たちを幸福にするという、人から見ればひどく曖昧で判然としないものだから。
羨望と――幾許かの親近感かな。厭世的なところ、似てる気がしたの。
親愛なる”エレオ”。自分のことをエレオと呼ぶ、幼子のような、未来のわたし。
そして偶然に出逢った、ランプの精霊。トーマス。
わたしはエレオで、エレオはわたし。なんて嘘よ。
わたしは消えたの。あの日望んだ時のように。』